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モスクワ便り


-JSNロシア現地奮闘記-

【Volume.2】危機を商機に

弊社の基本業務の一つに貿易がある。日本の様々な商品をロシア、主に極東地域に輸出している。モスクワで活動を始めた目的には当然、現在極東地域を中心としている販路をモスクワまで拡大させることも含まれている。

ある日本商品をモスクワの企業に売り込もうとする時、私はまず電話をして直接担当者と会って商談をしたい旨を伝える。(市場調査などをおこない綿密に準備を整えてからコンタクトを取る方法もあるが、ビザの関係上3ヶ月間までしかロシアに居れないので、最低限の資料を揃えた段階で、滞在期限内に出来るだけ多くの人と会うようにしている。)多くの場合、「まずメールでご用件をお伝えください」と返される。こちらがオファーする側なので、相手からは同時に「価格もお伝えください」とも言い加えられることがほとんどだ。こちらが「価格は用意できない、とにかくまず会いたい」というような返答をしてしまうと、はね返されることが多い。

メールを送り、コンタクトを取り付けようとしても、価格やその他の条件に魅力が無いので会っても仕方が無いだろうと結局コンタクトさえ取れない場合もある。興味を持ってくれたところに行き話をしても、弊社がオファーする日本商品では中国や東南アジア製の商品で代替できるものが多く、価格的に競争力が無いということでその後が続かない。価格が高くても日本製商品があらゆる方面で浸透している極東市場に比べると全く違う。

一大消費市場であるモスクワに商品を売り込もうとしているところは、ロシア国内外数え切れない程いるだろうことは容易に想像がつく。頻繁に来る売込みに対する対応も、モスクワでは擦れているというか、こなれている。極東では日本の会社であることを名乗ると相手がそれなりに興味を持ってくれることを期待できる場合が多いが、ここでは状況が全く違うと日に日に強く感じてくるようになった。

金融危機の影響で新規案件に乗り気でない向きもあるかもしれない。しかし見本市・展示会などを回り、商談に精を出すビジネスマンを見ていると、逆にこんな時期だからこそ今後を見据えて商機を探っている人達もたくさんいるのだなという雰囲気が感じられ、刺激を受ける。「ビジネスチャンスはどこにでも転がっている」とはよく言われるが、私にも、商機はそこにあるのに単に見えていないだけというものがあるのかもしれない。出来るだけ広くアンテナを張りながら行動をしていきたい。

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